プロンプトの長さより情報の選び方|検証2件で解説

プロンプトは長さではなく情報の選び方が結果を決めることを表したイラスト

※本記事にはアフィリエイト広告(PR)が含まれます。

こんにちは、ともかつです。

役割を与えて、前提を並べて、注意点を書いて、出力形式まで指定する。気づけば、依頼のたびに20行の前置きをコピペしています。

ところが、そこまで丁寧に頼んだ日より、面倒で1行だけ投げた日のほうが読める答えが返ってくる。

「もっと細かく書けば、もっといい答えが返ってくるはず」という前提が、そこで静かに崩れます。

答えの質を決めているのは、長さではありません。何を入れて、何を入れないかです。

2026年8月19日、この話にちょうど効く検証が2件、日本語メディアに載りました。片方は「短く書けば節約できる」側、もう片方は「細かく書くほど賢くなる」側の話です。

しかし元記事まで開くと、どちらも見出しから受ける印象とはずいぶん違う顔をしていました。

長い前置きを毎回コピペしている人ほど、消せる行は多いはずです。

目次

プロンプトの長さは、目的ではなく結果です

指示文を長くすること自体には、答えを良くする力も悪くする力もありません。

効いているのは、その長さの中にAIが判断に使える情報がどれだけ入っているかです。

同じ300字でも、部署の事情と提出先と締切が書かれた300字と、「あなたは一流のコンサルタントです」「正確かつ分かりやすく」で埋まった300字とでは、返ってくる答えが変わります。

なぜなら、前者は判断材料で、後者は飾りだからです。

だから指示文を見直すときの物差しは、文字数ではなく「この行がなかったら、答えは変わるか」と1行ずつ聞けるかどうかになります。

試しに、いつも使っている前置きを1行ずつ判定してみましょう。

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指示文の1行消したら答えは変わるか扱い
提出先は取引先の購買部長です変わる残す
あなたは一流のビジネスライターですほとんど変わらない削る候補
300字以内、箇条書き3本で変わる残す
丁寧に、正確にお願いします変わらない削る候補
先週の会議で価格改定は保留と決まりました変わる残す

この判定を全行に通すと、たいていの前置きテンプレは半分以下になります。

減った分だけ入力は速くなり、それでいて答えは変わらない。

仮に1日3回AIに頼むとして、20行の前置きが10行になれば、1か月で600行ぶんのコピペが手元から消える計算です。

なぜそう言えるのかを、公開された検証データから確かめていきましょう。

話題になった検証2件は、元記事を読むと話が変わります

2026年8月19日、AIエージェントに原始人のような短い言葉で話しかけるとトークンを大幅に節約できる、という話題が日本語メディアに載りました(@IT)。

SNSでも「今日から指示文を短くする」という反応が並びました。

また同じ日に、正反対の材料も日本語で紹介されています。渡す情報が多いほど賢くなるとは限らない、というIBM Researchの検証です。

どちらも、元記事のほうがずっと面白い話を書いています。

「短く話せばトークン65%節約」は、本当に65%減ったのか

元になっている検証を書いたのは、開発ツール大手のJetBrainsです。

「Caveman(原始人)」というスキルを実際に走らせて、宣伝どおりトークンが減るのかを自分たちで測っています。

スキルの中身は、記事中の一文がそのまま表しています。

「Skill make agent talk like caveman. Why use many token when few do trick.(このスキル、エージェントを原始人みたいに喋らせる。少ないトークンで済むのに、なぜ多く使う)」

冠詞も助動詞も落とした、電報のような文体にさせるわけです。

そして測った結果が、これです。

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計測の段階規模トークン削減率
スキルの宣伝値-65%
最初のお試しラン10タスク(1回ずつ)-29.5%
中規模ラン10タスク(3回ずつ)-6.7%
本番の計測86タスク-8.5%(出力トークン 592k→542k)
トークン削減率の比較。宣伝値65%に対し86タスクの本番計測は8.5%
規模を広げるほど、宣伝値との差が開いていきました。

宣伝値の65%に対して、実測は8.5%

しかも面白いのは、規模を広げるほど数字が下がっていったことです。

最初の10タスクでは約30%減っていた効果が、サンプルを増やすと溶けていきました。

JetBrains自身も「Never trust a k=1 eval(1回だけの評価を信用してはいけない)」と釘を刺しています。

検証の条件も具体的です。対象はClaude Code 2.1.200を画面なしで動かしたもので、モデルはClaude Sonnet 5、推論の強さは低い設定でした。

試行はおよそ240回、かかった費用は約106ドルと明かされています。

そこまで短くさせたら、品質のほうが落ちたのではないか。そう感じる人もいるでしょう。

82ペアを突き合わせた結果は、次のとおりです。

品質はどうだったか(82ペアの比較)
  • 同点だったペア:64
  • 短くしたほうが上回ったペア:8
  • 短くしたほうが下回ったペア:10
  • 符号検定のp値:0.82(差があるとは言えない)
  • 平均スコア差:-0.015(0〜1のスケール)

つまり「短くさせても答えは悪くならなかった」わけです。

短い指示=手抜き、という思い込みは、少なくともこの規模の検証では支持されませんでした。

宣伝の65%と実測の8.5%がこれほど離れた理由も、JetBrainsが説明しています。

65%はチャット形式の受け答えで出た数字で、開発ツールの出力は事情が違うのです。

コード、差分、ツールの呼び出し、エラー文字列がトークンの大半を占めていて、Cavemanはそこには手を付けません。

短くなるのはツール呼び出しの合間の説明文で、その分量がもともと多くない、という理屈です。

記事の結論も歯切れがいい。「Safe, honest about style, oversold on savings(安全で、文体については正直だが、節約については売り込みすぎ)」。

そのうえで「気に入ったなら使えばいい。楽しいし、品質面で測れるほどの代償はない」と続け、日常のエージェント作業で期待できる節約は1桁台後半が現実的な上限だとしています。

コスト削減を目的に導入するものではない、というのが検証した本人の立場です。

この検証が測っていないこと
  • 測ったのは出力トークン(AIが書く側)。皆さんが打ち込む入力の長さは、そもそも対象外です
  • 対象は開発ツールを自動で走らせる使い方。チャット画面での質問と回答は含まれていません
  • スキルを強制的に起動させた条件での数字です。使うかどうかをAIの判断に任せる通常の使い方なら、節約幅はこれ以下になるとJetBrainsは注記しています

検証の全文はJetBrains公式ブログの該当記事で読めます(英語・2026年8月20日確認)。

数字の出し方まで公開されているので、AIの検証記事の読み方としても勉強になります。

「細かく書くほど賢くなる」も、検証では支持されていません

反対側の思い込みにも、同じ日に材料が出ています。

IBM Researchが公開した検証を、GIGAZINEが「AIエージェントは『記憶』が多いほど賢くなるとは限らない」として取り上げました。

舞台はAppWorldという環境です。カレンダー、メッセージ、支払いなど9つの模擬アプリをAIに操作させて、タスクをやり遂げられるかを見ます。

タスク数は585(通常168・難問417)、対象は8モデル。

そこで、AIに渡す「過去の手がかり」の量を3段階に変えて比べました。

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条件渡し方gpt-oss-120b の成績トークンの増え方
記憶なし手がかりを何も渡さない39.9%ー(基準)
全部渡す集めた手がかりを毎回すべて渡す51%増
選んで渡す中核+そのタスクに関係するものだけ56.0%5%増

gpt-oss-120bというモデルでは、手がかりを選んで渡すと成功率が39.9%から56.0%へ、16.1ポイント伸びました。

しかも増えたトークンは、約5%です。

全部渡す条件では約51%も増えているので、少ない追加で大きく伸びたことになります。

情報は多いほどいい、という感覚とは逆の結果です。

渡す量を増やすほど、AIはそのタスクに関係のない手がかりまで抱え込みます。

その中から本当に必要な1本を選び直す作業が、そのまま負荷になるのです。

ここは正確に読む必要があります

「選んで渡すほうが常に良い」という結果ではありません。DeepSeek-V3.2、Claude Opus 4.6、GPT-5.5では、手がかりを全部渡したほうが成績が良く出ています。

IBM Researchの結論は「適量はモデルによって違う」で、しかもモデルの大きさからは予測できない、とされています。

「全部渡す」も「選んで渡す」も、それ自体が正解になるわけではないのです。

効いていたのは、渡す量ではなくそのタスクとの関係の濃さでした。

ちなみに、適量がモデルごとに違うということは、使っているAIの癖を知っておく価値があるということでもあります。

同じ依頼でも返し方が変わるので、乗り換えや使い分けで悩んでいる人はClaudeとChatGPTの違いも合わせて読んでおくと、判断が早くなります。

検証の詳細はIBM Researchの公開記事にあります(英語・2026年8月20日確認)。

2件の検証には、そのまま真似できない条件がついています

ここまでの数字を、そのまま「だから指示文は短くていい」と読むのは早すぎます。

なぜなら2件とも、対象にしているのはAIエージェントだからです。

エージェントというのは、依頼を1回受けたあと、AIが自分で手順を分け、ファイルを読んだりアプリを操作したりを何十回も繰り返す使い方を指します。

一方、皆さんが普段やっているのは、ChatGPTやGeminiの画面に質問を打ち込んで、答えが1回返ってくるほうでしょう。

条件が、かなり違います。

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比べる点検証が対象にした使い方会社員の普段の使い方
やり取りの回数1つの依頼で何十回も自動で往復1〜数回。人が読んで打ち返す
トークンの中身コード・差分・ツール呼び出しが大半日本語の文章がほぼすべて
測っていた対象AIが出す側のトークン量とタスク成功率読んでそのまま使えるかどうか
失敗したときの影響気づかないまま次の手順に積み上がるその場で気づいて言い直せる

ですから「8.5%しか減らないなら短くする意味がない」とも、「選んで渡せば16ポイント伸びる」とも、日本語のチャットにそのまま言い換えることはできません。

この点をぼかして一般化している解説を見かけますが、元記事にはどちらも書かれていない話です。

そのうえで、条件が違っても持ち帰れるものが2つあります。

条件が違っても持ち帰れる2点
  • 短くしても品質は落ちなかったという結果が、82ペアという規模で出ている。「短い=雑」という思い込みは外していい
  • 情報を足すことには増えるコストがある。全部渡すより、関係するものを選んで渡すほうが効率のいい場面はたしかにある

この2つは、開発ツールでも日本語のチャットでも共通します。

あとは、自分の仕事でどこを削ってどこを残すかを決めるだけです。

足すと効く情報は4種類、足しても効かない情報も4種類です

会社員の実務に落とすと、指示文に入れる情報はきれいに二つへ割れます。

判断材料になるものと、ならないもの。

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足すと効く情報なぜ効くのか足しても効かない情報なぜ効かないのか
①判断の基準
(何を優先するか・何を避けるか)
迷ったときの分かれ道をAIが自分で決められる①役割の飾り
(「あなたは一流の〜」)
形容を足しても、判断材料は1つも増えない
②読み手と提出先
(誰が読むか・社内か社外か)
敬語の強さと専門用語の量が自動で決まる②お願いの言葉
(「よろしくお願いします」)
出力の内容を左右しない
③形式と分量
(何字・何本・どの順で)
整え直しの往復が減る。効果が最も分かりやすい③一般論のお作法
(「正確に」「分かりやすく」)
その行を消しても答えはほとんど変わらない。次の「削るテスト」でそのまま確かめられます
④手元にしかない事実
(固有名詞・数字・決定事項)
AIが持っていない情報。ここが答えの質を最も大きく変える④前置きテンプレの固定部分
(案件が変わっても変わらない行)
案件ごとの違いを表さない=判断に使えない
その行を消して答えが変わるかで残すか削るかを判定するフローチャート
分類を覚えるより、この1問で判定するほうが速いです。

4つずつ並べましたが、覚え方はもっと単純です。

その行を消したら答えが変わるなら残す。変わらないなら削る。

役割の飾りは、名刺の肩書きのようなものです。誰が言っているかは分かっても、何をしてほしいのかは1文字も伝わりません。

いちばん効くのは「手元にしかない事実」です

4種類のうち優先順位をつけるなら、④が頭ひとつ抜けています。

AIは一般的な知識をたっぷり持っていますが、皆さんの会社で先週何が決まったかは知りません。

そこを埋める1行の情報量は、「正確に書いてください」の10行分より大きいのです。

IBM Researchの検証で成績を伸ばしたのも、この種類の情報でした。

渡したのは大量の一般的な手がかりではなく、そのタスクに関係する少数の手がかりです。

日本語の実務に置き換えるなら、「その案件に固有の事実だけを選んで書く」ということになります。

前置きテンプレは、5分の作業で半分にできます

手順にすると、こうなります。

今日そのまま試せる内容なので、手を動かしながら読んでみてください。

STEP
いま使っている前置きを、そのまま貼り出す

メモ帳でもWordでも構いません。毎回コピペしている文を、ひとかたまりで見える状態にしましょう。

STEP
1行ずつ「消したら答えは変わるか」を聞く

変わると即答できない行に、印を付けます。役割の飾り、お願いの言葉、一般論のお作法は、ほぼここに集まります。

STEP
印のない行だけを残して、同じ依頼を出す

長い版と短い版で、同じ案件を1回ずつ投げます。比べるのは仕上がりだけで、所要時間は数分です。

STEP
差が分からなければ、短いほうを新しいテンプレにする

差が出たときは、削った行を1つずつ戻して原因を探ります。たいていは「形式と分量」か「手元にしかない事実」を巻き込んで消しています。

STEP
残った行を、場面ごとに分けて保存する

メール用、議事録用、資料整理用。全部入りの1本を使い回すより、短い3本を持つほうが結果的に速くなります。

メール・議事録・資料整理の3場面で、実際に削ってみます

とはいえ、自分の依頼文だと、どこが飾りなのか分かりにくいですよね。

会社員の定番3場面で、削る前と後を並べます。落としたのは「効かない4種類」だけです。

場面1:取引先へのお詫びメール

  • 削る前(例):「あなたは日本のビジネス文書に精通した一流のライターです。以下の条件をよく読み、正確かつ丁寧に、失礼のない自然な日本語で文章を作成してください。読みやすさにも配慮してください。よろしくお願いします。取引先に納期遅れをお詫びするメールを書いてください。」
  • 削った後:「取引先の購買部長あてに、納期が3日遅れることを伝えるメールを書いてください。原因は当社の部材手配漏れです。代わりの納品日は9月2日。300字以内、言い訳を並べず、最初に謝罪と新しい納期を書いてください。」

消えたのは役割、お願い、一般論のお作法です。

残ったのは、相手・事実・原因・代案・分量・書き出しの順番。

文字数はほぼ半分になりましたが、AIが判断に使える材料はむしろ増えています。

場面2:会議の文字起こしを要約する

  • 削る前(例):「あなたは優秀な議事録作成のプロフェッショナルです。以下の会議内容を、正確に、漏れなく、分かりやすく要約してください。重要な点を見落とさないよう注意してください。」
  • 削った後:「次の文字起こしを、参加していない課長に見せる前提で要約してください。『決まったこと』『持ち帰り(担当者と期限つき)』『保留』の3見出しに分け、各3行以内。金額と日付は原文のまま残してください。」

「漏れなく」「見落とさないよう」は、指示としては何も決めていません。

代わりに見出しの型と読み手を書くと、どこを残しどこを捨てるかがその場で決まります。

場面3:たまった資料を整理する

  • 削る前(例):「あなたは経験豊富なビジネスアナリストです。以下の資料群を、プロフェッショナルな観点から、体系的かつ網羅的に整理・分類してください。」
  • 削った後:「次の12本の資料を、来週の社内説明で使う順に並べ替えてください。判断の基準は『初めて聞く人が理解できる順』です。並べたあと、抜けている資料があれば1行で指摘してください。」

「体系的」「網羅的」は聞こえがいいのですが、並べ替えの軸を決めていません。

軸を1つ書くだけで、結果は使えるものに変わります。

3場面に共通していた削り方
  • 「あなたは〜のプロです」の1行を丸ごと落とす
  • 「正確に」「分かりやすく」「網羅的に」を、具体的な軸1つに置き換える
  • 読み手を1人に決めて書く(課長・購買部長・初めて聞く人)
  • 字数・本数・見出しの型を数字で指定する

もちろん、テンプレそのものを否定しているわけではありません。

使い回してよいのは形式と手順を指定する部分で、削る対象は役割の飾りと一般論のお作法です。

むしろ、場面ごとに型を持っておくほうが毎回の入力は短く済みます。

議事録の要約は依頼の形が決まりやすいので、型が効く代表例です。

ゼロから考えるのが面倒なら、ChatGPT議事録要約プロンプト例|コピペ用9本から近いものを1本選び、そこに自分の案件の事実だけを足しましょう。

各社の公式ガイドも「簡潔に、ただし具体的に」と書いています

AIを作っている2社の公式ガイドも、同じ方向を向いています。

Anthropic(Claudeの開発元)は、プロンプトの原則として「Golden rule」を置いています。

「前提をほとんど知らない同僚にプロンプトを見せて、そのとおりに動いてもらう。相手が混乱するなら、Claudeも混乱する」。

そのうえで挙げているのは、出力の形式と制約を具体的にすること、順序が大事なときは番号付きの手順で書くことです。

長く書け、とはどこにも書かれていません。

Googleは、効果的なプロンプトの4要素をペルソナ・タスク・背景情報・形式としています。

コツとして挙がっているのは「自然な表現を使う」「具体的かつ反復的に」、そして「簡潔に記述して、複雑にならないようにする」「指示は簡潔に、ただし具体的な内容にします」

簡潔さと具体性を、両立するものとして並べているのが特徴です。

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公式ガイド言っていること言っていないこと
Anthropic前提を知らない同僚が迷わない具体さ/形式と制約の明示/順序が要るなら番号付き推奨の文字数
Googleペルソナ・タスク・背景情報・形式の4要素/簡潔に、ただし具体的に/うまくいかなければ追加のやり取りで調整推奨の文字数

どちらも「読む人が迷わない具体さを持たせなさい」と言っていて、長さはその結果として決まります。

冒頭に書いた「長さは目的ではなく結果」は、こことも一致します。

原文はAnthropicの公式ドキュメントGoogleの公式ガイドで読めます。※2026年8月20日時点の公式サイト情報です。

短くすること自体を、目的にしていいのか

ここはブレーキも踏んでおきます。

JetBrainsの検証が示したのは「短くしても品質はほぼ同等」であって、「短くすると良くなる」ではありません。

平均スコア差は-0.015。統計的に差があるとは言えない範囲ですが、上振れもしていないのです。

削ることそのものがゴールになると、判断材料まで巻き込んで消してしまいます。

そうなると出し直しが1回増える。短くして5秒稼いで、やり直しに3分かける。

それでは、削った意味がありません。

短くするときに削ってはいけない4つ
  • 固有名詞(社名・製品名・部署名・担当者の役職)
  • 数字(金額・日付・件数・期限)
  • 決まっていること/まだ決まっていないことの区別
  • 出力の形式と分量(字数・本数・見出しの型)

なお、短い指示で出てきた文章を読んで「なんだかAIっぽいな」と感じたなら、それは長さではなく仕上げの問題です。

直し方はAIっぽい文章の直し方|報告書のAI感を消す7点にまとめてあるので、提出前の5分に使ってみてください。

プロンプトの長さでよくある質問

結局、プロンプトは何字くらいが適切ですか。

字数の正解はありません。AnthropicもGoogleも、公式ガイドで推奨の文字数を示していないからです。目安が欲しいなら、1行ずつ削るテストを通したあとに残った行の合計を、そのときの適切な長さと考えましょう。

「あなたは一流の〇〇です」という役割指定は、まったく無意味ですか。

無意味と言い切れる根拠はありません。Googleの公式ガイドはペルソナを4要素の1つに挙げていて、否定してはいないからです。ただ「一流の」のような形容は判断材料を増やさないので、書くなら「経理担当者が読む前提で」のように読み手や立場を入れましょう。

長い前置きテンプレをコピペしています。全部やめるべきですか。

やめる必要はありません。削る対象は、案件が変わっても中身が変わらない行のうち、答えを左右しない行に限られます。形式・分量・手順を指定する行は毎回書く手間を省いてくれるので、むしろ残しておきましょう。

指示文を短くすると、AIの利用料は安くなりますか。

個人向けの月額プラン(ChatGPT PlusやClaudeの有料プランなど)は定額なので、短くしても請求額は変わりません。従量課金のAPIならトークン量が料金に直結しますが、JetBrainsの検証で減ったのは出力側で、削減幅は86タスクで8.5%でした。節約できるのはお金より、皆さんが入力に使う時間だと考えるほうが実態に合います。

どのAIでも、同じように短くしていいですか。

IBM Researchの検証では、渡す情報の適量はモデルによって違い、モデルの大きさからも予測できないという結果が出ています。ですから一律に決めず、使っているAIで同じ依頼を長短2通り出して見比べるのがいちばん早いです。複数のAIを併用している人は、ツールごとに型を分けておくと迷いません。

検証はAIエージェント向けとのことですが、普通のチャットにも当てはまりますか。

そのまま当てはめることはできません。2件とも、AIが自分で何十回も手順を進める使い方を対象にした検証だからです。ただし「短くしても品質は落ちなかった」「関係する情報を選んで渡すほうが効率がいい場面がある」という2点は、数字ではなく判断の物差しとして日本語のチャットにも持ち込めます。

まとめ:削るのは長さではなく、関係のない情報です

持ち帰ってほしいのは、次の7つです。

この記事のまとめ
  • 「短く話せば65%節約」は宣伝値。86タスクの実測は8.5%で、対象は開発ツールの出力トークン
  • 品質は82ペアで統計的な差なし(p=0.82)。短い=雑ではない
  • 「全部渡す」より「選んで渡す」が伸びるモデルがある(gpt-oss-120bは39.9%→56.0%・追加トークンは約5%増)
  • ただし適量はモデルによって違い、2件ともAIエージェントを対象にした検証
  • 足すと効くのは、判断の基準/読み手と提出先/形式と分量/手元にしかない事実
  • 効かないのは、役割の飾り/お願いの言葉/一般論のお作法/前置きテンプレの固定部分
  • 公式ガイドの推奨は「簡潔に、ただし具体的に」。推奨字数はどちらも示していない

次に何かを頼むとき、前置きを1行だけ消してみましょう。

答えが変わらなければ、その1行は明日から要りません。

それを5回くり返すころには、テンプレは自然に半分になっているでしょう。

長い前置きは、丁寧さの証明にはなりません。

皆さんの手元にしかない事実を1行足すほうが、20行の飾りよりずっと効きます。

それでも答えが良くならないなら、原因は指示文ではなく道具のほうかもしれません。

同じ依頼でも返し方はAIごとに違うので、用途別の比較から選び直すのがいちばん早い立て直し方です。

削るのは長さではなく、その依頼に関係のない情報です。今日の1通から、さっそく1行消してみましょう!

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この記事について
  • 確認日:本文の数値・引用・公式ガイドの記述は、2026年8月20日に下記の各ページを開いて確かめたものです。本文で「公式に示されていない」と述べているのは、この5本の範囲での話になります
  • 筆者の環境:契約しているのは ChatGPT Plus・Claudeの有料プラン・Google AI Pro・Perplexityの有料プランです。JetBrainsとIBM Researchの検証は公開情報の紹介で、筆者が自分で走らせたものではない点をお断りしておきます
  • 広告について:本記事にはアフィリエイト広告(PR)を含みます。掲載順や評価が広告によって変わることはありません
  • 修正方針:数値や公式ガイドの記述が変わったと分かった時点で、本文を直して確認日を書き換えます

出典

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この記事を書いた人

AIツールは「使えるかどうか」より「自分の仕事で役に立つかどうか」。

30〜40代の非エンジニア会社員です。プログラミングは書けませんが、
ChatGPT・Gemini・Claude などを毎日の業務と副業で実際に使い倒しています。

「種類が多すぎて選べない」「課金する価値があるのか分からない」
「導入したいけど社内をどう説得すればいいのか」――
そんなつまずきを、専門用語をできるだけ使わずに解説します。

料金や機能の横並び比較、初期設定の手順、そのまま使えるプロンプト、
そして副業や業務効率化で実際に成果が出た使い方まで、
自分で試して確かめたことだけを書いています。

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