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フォルダーを開くと、ファイルが200個以上並んでいる。この名前をぜんぶExcelの表にしてほしい、と頼まれたとします。
1つずつコピーして貼り付ければ、たしかに終わります。200回くり返せば。途中で1つ飛ばしても、たぶん誰も気づきません。そこがいちばん怖いところです。
手順を調べれば、記事はすぐ見つかります。ところが出てくるのは、たいていVBAマクロを使うやり方。会社から配られたパソコンでマクロを開こうとして、「管理者によって〜」の一文で止まった経験はないでしょうか。上位の記事が間違っているわけではなく、あなたの環境がその前提に当てはまっていないだけです。
先に結論を書きます。この作業には方法が3つあり、どれを選ぶかは好みではなく、あなたのパソコンで何が許可されているかで決まります。VBAマクロ、Power Query、そしてWindows標準のコマンド。マクロが止められていても、残りの2つは動きます。
この記事で扱うExcelとWindowsの仕様は、2026年8月21日にMicrosoft公式のサポートページとリファレンスで確認したものだけを使っています。筆者は非エンジニアの会社員で、Microsoft 365 Personalを契約しています。手順はWindows版Excelを前提に書き、Macだと結論が変わる部分は専用の見出しにまとめました。
読み終わる頃には、自分が使うべき方法が1つに決まり、その手順とChatGPTへの指示文がそのまま手元にある状態になっているはずです。
- 会社のパソコンで使える方法を3つの質問で絞り込む手順
- VBAマクロでファイル名を書き出すコード(更新日時・サイズ付きの版も)
- マクロが無効でも使えるPower Queryの操作(サブフォルダーも最初から対象)
- Excelの設定を一切変えずに済む、Windows標準コマンドの1行
- ChatGPTに手順やコードを作らせるときのコピペ用の指示文2本
- Mac版Excelで結論が変わる部分と、その場合の代わりのやり方
フォルダー内のファイル一覧をエクセルに出す方法は3つに分かれる
やろうとしていることの正体は、フォルダーの中身を「文字」として取り出して、Excelに流し込むことです。Excelには「フォルダーの中身を一覧にする」という名前のボタンがありません。だから遠回りに見える手順が必要になります。
その遠回りのルートが3本あります。実現できることはほぼ同じで、違うのは「使うために何の許可がいるか」です。
| 方法 | マクロの許可 | サブフォルダー | あとから更新 | おすすめできる人 |
|---|---|---|---|---|
| A. VBAマクロ | 必要 | そのままでは対象外 | 実行しなおすだけ | 自分のパソコンで設定を変えられる人/毎月くり返す人 |
| B. Power Query | 不要 | 最初から対象 | 更新ボタンで再取得 | 会社のパソコンでマクロが止められている人 |
| C. Windows標準コマンド | 不要 | オプションで対応 | もう一度実行する | Excelの設定を何も触りたくない人/1回きりでいい人 |
この話題が広まったきっかけのひとつが、窓の杜が2026年8月19日に公開したフォルダー内のファイルを一覧リスト化する記事です。そこで中心に紹介されているのはPower Query。ただしこれは「データの取得」が使えることが前提の手順で、逆にマクロが使える人にとっては遠回りになる場面もあります。
つまり、どれが正解かは記事側では決められません。次の3つの質問で、あなた側の条件から決めていきましょう。
まず「会社のパソコンで何が使えるか」を3つの質問で判定する
順番に見ていってください。上から答えていけば、読むべき見出しが1つに決まります。
Excelで[ファイル]→[オプション]→[セキュリティ センター]→[セキュリティ センターの設定]→[マクロの設定]と進みます。ここで選択肢を選べるならYES、グレーになっていて選べないならNOです。Microsoft公式にも「組織のグループ セキュリティ ポリシーが原因で、セキュリティ センターの設定を変更できないことがあります」と書かれています(2026年8月21日確認)。会社支給のパソコンで選べないのは、あなたの操作ミスではありません。
Excelの上部にある[データ]タブを開いて、左のほうに[データの取得]があるかを見ます。これがPower Queryの入口です。公式の対応表では、Windows版のExcelは2016以降のどのエディションでも「ローカル フォルダー」が対象に含まれています(2026年8月21日確認)。
この記事の方法A・B・Cは、いずれもWindows版のExcelを前提にしています。Macの人は、この2つ前の質問の答えに関係なく結論が変わるので、後半の「Macを使っているなら選べる方法が変わる」まで進んでください。
![マクロ設定と[データの取得]の有無から、使える方法を3つに振り分ける判定フロー図](https://tomokatsu-blog.com/wp-content/uploads/2026/08/excel-file-list-method-flow.png)
- 質問1がYES → 方法A(VBAマクロ)。同じ作業を毎月くり返すなら、これがいちばん手離れがいいです
- 質問1がNO、質問2がYES → 方法B(Power Query)。マクロの許可がいらないので、会社のパソコンで詰みにくい選択です
- 質問1も質問2もNO → 方法C(Windows標準コマンド)。Excelの設定を1つも触りません
- Macを使っている → 「Macを使っているなら選べる方法が変わる」の見出しへ
迷ったときは、質問2がYESなら方法Bから試すのが無難です。設定を変えずに済み、あとから「もう一度最新の状態で取り直したい」となったときも更新ボタンで済みます。
方法A:VBAマクロでファイル名一覧を取得する
マクロの設定を自分で変えられるなら、これが最短です。一度作ってしまえば、次からはボタンを押すだけ。フォルダーを変えたいときも、コードの1行を書き換えるだけで済みます。
[ファイル]→[オプション]→[セキュリティ センター]→[セキュリティ センターの設定]→[マクロの設定]を開きます。選択肢は「警告を表示せずにすべてのマクロを無効にする」「通知を表示してすべてのマクロを無効にする」「デジタル署名されたマクロ以外のすべてのマクロを無効にする」「すべてのマクロを有効にする(推奨されません。危険なコードが実行される可能性があります)」の4つで、既定は2番目です(2026年8月21日確認)。既定のままで問題ありません。自分で作ったファイルを開いたときに出る「コンテンツの有効化」を押せば動きます。
Excelで新しいブックを作り、キーボードで[Alt]+[F11]を押します。別ウィンドウ(Visual Basic Editor)が開くので、メニューの[挿入]→[標準モジュール]を選びます。真っ白な入力欄が出れば準備完了です。
下のコードをまるごと貼り付けて、targetFolder の行だけを自分のフォルダーのパスに書き換えます。末尾の「\」を消さないことだけ注意してください。パスはエクスプローラーでフォルダーを選び、[Ctrl]+[Shift]+[C]でコピーすると打ち間違いがありません。ただしこの方法でコピーしたパスは前後に「”」(ダブルクォート)が付き、末尾の「\」は付きません。貼り付けたら前後の「”」を消し、末尾に「\」を足してください。
コードの中のどこかをクリックしてカーソルを置き、[F5]を押します。新しいシートが追加され、そこにファイル名が並びます。何件書き出したかがメッセージで出ます。
次回も使いたいなら、保存形式を「Excel マクロ有効ブック(.xlsm)」にします。ここを飛ばすと、次に開いたときコードだけが消えています。理由はこのあとの注意点で説明します。
コピペ用:ファイル名だけを書き出すコード
Sub ListFileNames()
Dim targetFolder As String
Dim fName As String
Dim r As Long
' ▼ここだけ書き換える(末尾の「\」を必ず付ける)
targetFolder = "C:\Users\yourname\Documents\sample\"
' 既存のシートは触らず、新しいシートに出力します
Worksheets.Add
Range("A1").Value = "No"
Range("B1").Value = "ファイル名"
r = 2
fName = Dir(targetFolder & "*")
Do While fName <> ""
Cells(r, 1).Value = r - 1
Cells(r, 2).Value = fName
r = r + 1
fName = Dir()
Loop
Columns("A:B").AutoFit
If r = 2 Then
MsgBox "ファイルが見つかりませんでした。フォルダーのパスを確認してください。"
Else
MsgBox (r - 2) & " 件のファイル名を書き出しました。"
End If
End Sub
やっていることは単純です。Dir という命令にフォルダーのパスを渡すと、条件に合う最初のファイル名が返ってきます。次からはDir()と引数なしで呼ぶと、続きのファイル名が1つずつ返り、なくなると空っぽの文字が返ります。これがVBA公式リファレンスに書かれている使い方そのままです(2026年8月21日確認)。Do While は「空っぽになるまでくり返す」という意味です。
更新日時とサイズも一緒に出したいとき
「いつ更新されたか」まで台帳に入れたい場合は、ループの中を2行増やします。
Sub ListFileNamesWithDetail()
Dim targetFolder As String
Dim fName As String
Dim r As Long
' ▼ここだけ書き換える(末尾の「\」を必ず付ける)
targetFolder = "C:\Users\yourname\Documents\sample\"
Worksheets.Add
Range("A1").Value = "No"
Range("B1").Value = "ファイル名"
Range("C1").Value = "更新日時"
Range("D1").Value = "サイズ(バイト)"
r = 2
fName = Dir(targetFolder & "*")
Do While fName <> ""
Cells(r, 1).Value = r - 1
Cells(r, 2).Value = fName
Cells(r, 3).Value = FileDateTime(targetFolder & fName)
Cells(r, 4).Value = FileLen(targetFolder & fName)
r = r + 1
fName = Dir()
Loop
Columns("A:D").AutoFit
MsgBox (r - 2) & " 件のファイル情報を書き出しました。"
End Sub
- .xlsxで保存するとコードが消える。Microsoft公式のファイル形式一覧に、.xlsxは「VBA マクロ コードや Excel 4.0 マクロ シートは保存できません」、.xlsmは「VBA マクロ コードや Excel 4.0 マクロ シートを保存します」と明記されています(2026年8月21日確認)
- サブフォルダーの中までは辿れない。公式リファレンスに「Dir 関数を再帰的に呼び出すことはできません」とあります。入れ子のフォルダーまで一覧にしたいなら、方法Bか方法Cのほうが早いです
- 並び順は保証されない。公式リファレンスも、必要なら取得したファイル名を配列に入れて並べ替えるように案内しています。Excelに出したあとで「並べ替え」を使うほうが簡単です
貼り付けたのにエラーが出て止まる、という場合は、コードよりExcel側の設定・保存形式・ファイルの出所を先に疑ったほうが早く終わります。切り分けの順番はChatGPTのExcelマクロが動かない原因と直し方にまとめてあるので、エラーダイアログが出た時点でそちらを見てみてください。
方法B:Power Queryならマクロ禁止のパソコンでも一覧を出力できる
ここが、上位の解説記事でいちばん抜けやすいところです。Power Queryはマクロの許可を必要としません。マクロの設定がグレーで固定されていても、[データの取得]が押せるなら使えます。
しかも、サブフォルダーの中身まで最初から拾います。公式のフォルダー コネクタの説明はこうです。「使用するフォルダーを選択すると、そのフォルダー内のすべてのファイルに関するファイル情報が表示されます。サブフォルダー内のファイルに関するファイル情報も表示されます」(2026年8月21日確認)。入れ子になったフォルダーを1つずつ開き直す作業が、ここで消えます。
Excelを開いて、この順にメニューをたどります。Microsoft公式のサポートページに載っている道順と同じです。
パスを直接入力するか、[参照]から選んで[OK]。フォルダーの中身の一覧が、そのままプレビュー画面に出ます。この時点で「もう一覧はできている」状態です。
ここが分かれ道です。[結合と変換]や[結合して読み込む]は、各ファイルの中身をつなげる機能。今回ほしいのは中身ではなく名前の一覧なので、押すのは[データの変換]です。ここを押し間違えると、まったく違う画面に進みます。
Power Query エディターが開きます。ファイル名・拡張子・更新日時・フォルダーのパスといったファイル情報が列で並んでいるので、残したい列を[Ctrl]を押しながら選び、右クリックで[他の列の削除]。いちばん左のファイルの中身そのものを持つ列(Content)は、今回は不要です。
エディター左上の[閉じて読み込む]を押すと、Excelのシートに表として出てきます。バージョンによってボタンの位置が少し違うことがあるので、見当たらないときは[ホーム]タブを探してみてください。
ファイルが増えたら、表の中をクリックして[データ]→[更新]。手順をやり直す必要はありません。毎月の棚卸しのような作業だと、ここが効いてきます。

プレビュー画面に出てくるボタンは似た名前が並ぶので、Microsoft公式のサポートページに載っている名前を並べておきます。目的が違うだけで、どれも正しいボタンです。
| ボタン | 何が起きるか | ファイル名一覧が目的なら |
|---|---|---|
| データの変換 | フォルダーの情報をそのままエディターに読み込む | これを押す |
| 結合と変換 | 各ファイルの中身をつなげてからエディターに読み込む | 押さない |
| 結合して読み込む | 各ファイルの中身をつなげて直接シートに出す | 押さない |
| 読み込み/読み込み先 | そのままの状態でシートに出す | 列を削らずに出したいときだけ |
マクロが使えなくて諦めていたなら、まずはこの方法Bを試してみてください。Excelの設定は1つも変えずに済みます。
方法C:Windows標準のコマンドでファイル名一覧を出力する
マクロも使えない、[データの取得]も見当たらない。そんなときの最後の手段が、Windowsに最初から入っている dir というコマンドです。Excelには何もインストールせず、設定も変えません。
コマンドプロンプトと聞いて、身構えていませんか。実際にやることは、1行を貼り付けてEnterを押すだけです。プログラムを書くわけではありません。
一覧にしたいフォルダーを、いつもどおりエクスプローラーで開きます。
画面上部の、フォルダーの場所が表示されている帯(アドレスバー)をクリックします。文字が選択された状態になるので、そこに cmd と打ってEnter。黒い画面が、そのフォルダーの位置で開きます。パスを打ち込む手間が消えるので、この開き方がいちばん失敗しません。
下のコマンドをコピーして、黒い画面で右クリック(貼り付けになります)してEnter。デスクトップに filelist.txt ができます。
できた filelist.txt をダブルクリックしてメモ帳で開き、[Ctrl]+[A]で全選択、[Ctrl]+[C]でコピー。Excelのシートで[Ctrl]+[V]。1行1ファイルで縦に並びます。遠回りに見えて、これがいちばん事故りません。
dir /b /a:-d > "%USERPROFILE%\Desktop\filelist.txt"
短いので、中身を分解しておきます。/b は余計な情報を省いてファイル名だけを出すオプション、/a:-d はフォルダー(ディレクトリ)を一覧から外すオプションです。Microsoft公式のコマンドリファレンスにも、結果をファイルに書き出すときは /a:-d と /b を使ってファイル名だけを一覧表示するように、という趣旨の説明があります(2026年8月21日確認)。
| 書き足すもの | 意味 | 使いどころ |
|---|---|---|
/s | サブフォルダーの中まで探す | 入れ子のフォルダーごと一覧にしたいとき(パス付きで出ます) |
*.pdf | 特定の拡張子だけに絞る | PDFだけ、Excelファイルだけ、といった台帳を作るとき |
/o:d | 日付順に並べる | 古い順・新しい順で整理したいとき |
/o:n | 名前順に並べる | 五十音・アルファベット順にそろえたいとき |
たとえばPDFだけをサブフォルダーごと拾うなら dir *.pdf /b /s > "%USERPROFILE%\Desktop\filelist.txt" という書き方になります。
- 出力先を同じフォルダーにしない。書き出し先のファイルは実行前に作られるため、できたばかりの
filelist.txt自身が一覧に混ざることがあります。上のコマンドで出力先をデスクトップにしているのは、そのためです - .csvで出すとファイル名が途中で切れることがある。名前にカンマが入っているファイルがあると、Excelがそこで列を分けます。いったん.txtで出してから貼り付けるほうが安全です
- 会社によっては黒い画面自体が開かない。管理者がコマンドプロンプトを禁止している環境もあります。その場合は方法Bに戻るか、社内の情報システム部門に相談してください
ChatGPTに手順やコードを作らせるときの指示文
ここまでの3つは、自分の手を動かす前提の説明でした。ChatGPTに作らせたほうが早い場面もあります。ただし、そのまま「エクセルでファイル一覧を作る方法を教えて」と聞くと、ほぼ確実にVBAマクロの回答が返ってきます。マクロが禁止されている環境だと、その時点で無駄になります。
コツは1つだけ。自分の環境の制約を、先に渡すことです。長く書く必要はありません。AIに渡す情報は、量より「何を入れて何を入れないか」で結果が変わります。この考え方はプロンプトの長さより情報の選び方で詳しく書いたので、指示文づくりに悩んだらそちらもどうぞ。
マクロが使える人向けの指示文
Windows版のExcelで使うVBAマクロを書いてください。
【やりたいこと】
指定したフォルダーの中にあるファイルの「ファイル名」を、
新しいシートのA列に上から順に書き出す。
【条件】
・対象フォルダーのパスは、コードの先頭で1行だけ書き換えられるようにする
・サブフォルダーの中は対象にしない
・既存のシートは書き換えず、新しいシートを追加して出力する
・B列に更新日時、C列にファイルサイズも出す
・実行後に「〇件書き出しました」とメッセージを出す
【環境】
Windows版Excel / Microsoft 365
VBAを触ったことがない人向けに、
コードを貼り付ける場所と実行方法も手順で説明してください。
マクロが禁止されている人向けの指示文
こちらが本題です。制約を最初の3行で伝えると、マクロ以外の答えが返ってきます。
会社のパソコンの制約で、Excelのマクロが使えません。
「マクロの設定」が管理者によって固定されていて、変更できない状態です。
そのため、VBAマクロを使う方法は提案しないでください。
【やりたいこと】
フォルダーの中にあるファイル名の一覧を、Excelの表にしたい。
サブフォルダーの中のファイルも含めたい。
【使える前提】
・Windows版のExcel(Microsoft 365)
・「データ」タブに「データの取得」がある
・コマンドプロンプトは開ける
【お願い】
マクロを使わない方法を2つ挙げてください。
それぞれ、クリックするメニュー名まで書いて手順を説明してください。
最後に、どちらを選ぶべきかの判断基準を1〜2行で添えてください。
- 使えないもの(マクロ禁止・管理者による制限など)を先に書く
- 使える環境(Windows版Excel・Microsoft 365・コマンドプロンプトの可否)を書く
- 説明のレベル(「メニュー名まで書いて」「VBAを知らない人向けに」)を指定する
Macを使っているなら選べる方法が変わる
先に言い切っておきます。ここまでの方法A・B・Cは、そのままではMacで使えません。Macを使っている人は、この節だけ読めば十分です。
まずPower Query。公式のデータソース対応表では、Excel for Mac の「ローカル フォルダー」は「最新の情報に更新」には対応しているものの、「インポート」の欄が空欄になっています(2026年8月21日確認)。つまり、Windowsで作ったクエリを更新することはできても、Macから新しくローカルのフォルダーを読み込む操作は、対応表に載っていません。
VBAのほうも事情があります。Office 2016 for Mac 以降のアプリはサンドボックス化されていて、公式の表記は「アプリがアプリ コンテナーの外部にあるリソースにアクセスできないように制限されます。これは、プロセス間のファイル アクセスまたは通信に関連するすべてのアドインまたはマクロに影響します」(2026年8月21日確認)。フォルダーを読みに行くマクロは、まさにこの影響を受ける側です。Mac用に GrantAccessToMultipleFiles というコマンドが用意されてはいますが、非エンジニアが最初に触る場所ではありません。
| 方法 | Windows版Excel | Mac版Excel |
|---|---|---|
| A. VBAマクロ | 使える | サンドボックスの制限を受ける(そのままでは動かないことがある) |
| B. Power Query(ローカル フォルダー) | Excel 2016以降のどのエディションでも対象 | 公式の対応表では「更新」のみ対象。「インポート」は空欄 |
| C. コマンド | コマンドプロンプトの dir | ターミナルの ls(下記) |
ではMacはどうするか。いちばん早いのは、macOSに最初から入っている「ターミナル」です。[アプリケーション]→[ユーティリティ]→[ターミナル]を開いて、下の1行を貼り付けます。ls -1 のあとに、対象フォルダーをFinderからドラッグ&ドロップするとパスが自動で入ります。
ls -1 /Users/yourname/Documents/sample > ~/Desktop/filelist.txt
デスクトップに filelist.txt ができるので、開いて全選択し、Excelに貼り付ければ終わりです。考え方はWindowsの方法Cと同じで、コマンド名が違うだけです。
うまくいかないときに見る場所
手順どおりにやったのに動かない、という状態で止まっていませんか。つまずく場所はだいたい決まっているので、症状から原因を引ける形にしておきます。
| 症状 | ありがちな原因 | どうするか |
|---|---|---|
| [開発]タブが見当たらない | 初期状態では表示されない | [ファイル]→[オプション]→[リボンのユーザー設定]で[開発]にチェック。なお、この記事のコードは[Alt]+[F11]だけで貼り付けられるので、タブが出せなくても進めます |
| マクロの設定がグレーで選べない | 組織のポリシーで固定されている | 設定側では解決しません。方法Bか方法Cに切り替えるのがいちばん早い判断です |
| 保存して開き直したらコードが消えた | .xlsx形式で保存した | 「Excel マクロ有効ブック(.xlsm)」で保存し直す |
| 実行しても1件も出ない | パスの末尾の「\」がない/フォルダー名の打ち間違い | エクスプローラーでフォルダーを選び[Ctrl]+[Shift]+[C]でパスをコピーして貼り、末尾に「\」を足す |
| サブフォルダーの中が出てこない | Dirは入れ子を辿れない仕様 | 方法B(最初から対象)か、方法Cに /s を足す |
| [データの取得]が見当たらない | Excelのバージョンが古い/Mac版を使っている | 方法Cへ。Macなら前の見出しの ls へ |
- 設定画面の項目がグレーで、そもそも押せない(権限の話なので、粘っても変わりません)
- 同じエラーでAIとの往復が5回を超えた(原因の層がずれている合図です)
- 作業が今日1回きりで終わる(それなら方法Cが3分で片づきます)
よくある質問
- 会社のパソコンでマクロが禁止されています。何とかして使う方法はありますか。
-
設定を回避する方法をお伝えすることはできません。マクロの制限は、外から来たファイルが勝手に動くのを防ぐためのものだからです。ただ、目的である「ファイル名の一覧」は、方法B(Power Query)や方法C(コマンド)で問題なく作れます。どうしてもマクロが必要な業務なら、情報システム部門に用途を添えて相談するのが正規のルートです。
- ファイル名だけでなく、フォルダー名も一覧にできますか。
-
できます。方法Cなら
/a:-dを外せばフォルダーも一覧に含まれ、/a:dにするとフォルダーだけが出ます。方法BのPower Queryは、サブフォルダーの中のファイルも拾ったうえで、どのフォルダーに入っているかがパスの列に入ります。 - ファイルが1万個あります。それでも処理できますか。
-
できます。Excelのワークシートは1,048,576行まで使えるので(2026年8月21日にMicrosoft公式の仕様ページで確認)、1万件は上限にまったく届きません。ただ、件数が多いほど読み込みには時間がかかります。目的が「特定の種類のファイルだけ」なら、最初から絞り込んだほうが速いです。方法Cなら
dir *.pdf /bのように拡張子を指定し、方法Bなら読み込んだあとに拡張子の列でフィルターをかけてください。 - 共有サーバー(ネットワークドライブ)のフォルダーでも使えますか。
-
自分のパソコンから開けるフォルダーであれば、どの方法でもパスを指定できます。ドライブレターが割り当てられていない場所は
\\サーバー名\共有名\フォルダー名\の形式で指定します。ただし、社内サーバーへのアクセス権限や監査の扱いは会社ごとに違うので、業務データを扱う場合は自社のルールを先に確認してください。 - 一覧を作ったあと、ファイルが増えたらどうすればいいですか。
-
方法Bがいちばん楽です。表の中をクリックして[データ]→[更新]を押すだけで、最新の状態を取り直します。方法Aはマクロをもう一度実行、方法Cはコマンドをもう一度実行することになります。月次や四半期でくり返す作業なら、最初から方法Bで組んでおくと後が楽です。
- 3つのうち、結局どれを選べばいいですか。
-
今日1回きりで終わるなら方法C、これから何度もくり返すなら方法B、自分のパソコンで設定を自由に変えられて細かい加工までしたいなら方法Aです。マクロが使えるかどうか分からない状態なら、設定画面を開いて選択肢が押せるかを見るところから始めてみてください。そこが最初の分かれ道になります。
まとめ:使えるものが1つあれば、その作業は終わる
ファイル名の手打ちは、時間がかかるだけでなく、間違いに気づけないところが厄介です。200件のうち3件を打ち間違えても、見返して見つけられる人はほとんどいません。だから、この作業は自動化する価値があります。
- 方法は3つ。選ぶ基準は好みではなく、自分のパソコンで何が許可されているか
- マクロの設定が変えられるなら方法A。保存は.xlsm(.xlsxではコードが消えます)
- マクロが止められていても方法B(Power Query)は動く。押すのは[結合]ではなく[データの変換]
- Excelを何も触りたくないなら方法C。
dir /b /a:-dの1行で終わります - ChatGPTに頼むときは、使えないものを先に伝える。それだけでマクロ以外の答えが返ります
- Macは方法A・Bとも制限があるため、ターミナルの
lsが現実的
迷っているなら、まず[データ]タブを開いて[データの取得]があるかを見てみてください。あれば方法B、なければ方法C。それだけで、今日中に終わる作業になります。
- ChatGPTのExcelマクロが動かない原因と直し方
方法Aでエラーが出て止まったときに、どの層から疑うかの切り分け手順 - プロンプトの長さより情報の選び方
AIへの指示文を長くしても答えが良くならない理由と、何を入れるべきか - Claude Codeで非エンジニアが社内ツールを作る全手順
Excelの中では手が届かない自動化に進みたくなったときの次の一歩
※本記事のExcel・Windowsの仕様および手順は、Microsoft公式の以下のページで2026年8月21日に確認しました。
Excel バージョンの Power Query データ ソース/複数のファイルを含むフォルダーからデータをインポートする (Power Query)/Power Query フォルダー コネクタ/Folder.Files 関数/Excel のマクロ セキュリティ設定を変更する/Excel でサポートされているファイル形式/Dir 関数(VBA 言語リファレンス)/dir コマンド/Office for Mac の VBA/Excel for Mac のデータのインポートと図形の作成 (Power Query)/Excel の仕様と制限
