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「AIが、あなたがMacで何をしていたかを覚えている」。そう聞いて、便利だと思いましたか。それとも、少し身構えましたか。
ChatGPTのMac版デスクトップアプリに、その機能が実際に加わりました。名前は「Computer History」。クリックや文字入力といったPCの操作を記録して、ChatGPTの記憶として使う仕組みです。
気になるところから先に答えます。画面のスクリーンショットも録画も、マイクの音声も記録されません。初期設定はオフで、自分でオンにしない限り何も始まりません。そしてもう一つ、ChatGPT Plusは対象外です。
私は非エンジニアの会社員で、契約しているのはChatGPT Plusです。つまりこの機能は私自身も対象外で、自分の環境で動かして確かめたわけではありません。この記事に書いた仕様は、2026年8月16日にOpenAIの公式ドキュメントで確認したものだけを載せました。
読み終わる頃には、自分が対象なのか、会社のMacで使っていいのか、オンにしたあとどこを押せば止まるのか。この3つの答えが手元に残ります。
- Computer Historyで記録されるもの・記録されないものの線引き
- 使えるプラン・OS・地域の条件(Plusが外れる理由)
- 同じChatGPTの「recordモード」との違い
- 会社支給のMacで使う前に確認しておきたい点
- 一時停止・アプリ除外・履歴削除の具体的な手順
ChatGPTがMacのPC操作を記録する新機能「Computer History」
Computer Historyは、Macで使ったアプリやWebサイトでの操作を、ChatGPTとCodexが使える「記憶」とタイムラインに変える機能です。OpenAIの変更履歴に載ったのは2026年8月13日。対象はMac版のデスクトップアプリだけで、Windows版やブラウザのChatGPTには入っていません。
使い道はシンプルです。「休憩に入る前に何をしていたか」「昨日見たあの資料はどこにあるか」といった質問に、ChatGPTが自分の作業内容をもとに答えられるようになります。毎回いちから状況を説明し直す手間が減る、という発想の機能です。

では、何が残って何が残らないのか。ここがいちばん気になるところなので、公式ドキュメントの記述を表に並べました。
| 記録されるもの | 記録されないもの |
|---|---|
| クリック | スクリーンショット |
| 文字の入力 | 画面の録画 |
| キーボードショートカット | マイクの音声 |
| アプリの切り替え | システムの音声 |
| macOSが渡すアプリ内の情報 | プライベートブラウジングでの閲覧 |
画面そのものを撮られるわけではない、という点は押さえておく価値があります。画面収録(スクリーンレコーディング)の許可も必要ありません。一方で、文字入力が記録の対象に入っているのは事実です。パスワードの入力欄まで含むのかどうかは公式ドキュメントに書かれていないので、あとで触れる除外設定で先回りしておくのが手堅い選択になります。
recordモードとの違いは「音を録る」か「操作を残す」か
ChatGPTには以前から「recordモード」があります。どちらも「記録」という言葉が付くので混ざりやすいのですが、中身は別物です。
| 比べる点 | Computer History | recordモード |
|---|---|---|
| 記録するもの | PCの操作イベント | 会議などの音声 |
| 主な用途 | 作業の続きをAIに引き継ぐ | 文字起こしと議事録 |
| 始まり方 | オンにすると自動で記録 | 自分で録音ボタンを押す |
| 対象 | Pro・Business・Enterprise | Macアプリ+有料プラン |
会議の議事録を自動化したいだけなら、探しているのはrecordモードのほうです。こちらはChatGPT Plusでも条件を満たせば使えます。使える条件と手順は別記事にまとめてあるので、そちらへどうぞ。
使えるのはPro・Business・Enterprise。Plusは対象外
ここがいちばんの落とし穴です。ChatGPT Plusを契約していても、設定画面にComputer Historyは出てきません。引っかかりやすい条件を1枚にまとめました。
| 確認する項目 | 条件(2026年8月16日時点) |
|---|---|
| 対象OS | macOSのデスクトップアプリのみ。Windows・ブラウザは非対応 |
| 対象プラン | Pro・Business・Enterprise。Free・Go・Plusは対象外 |
| 初期設定 | オフ。自分でオンにするまで記録は始まらない |
| 会社アカウント | 管理者が許可したうえで、メンバーが個別にオンにする |
| 提供地域 | EEA(欧州経済領域)・スイス・英国では現時点で利用不可。日本は対象 |
| 前提機能 | Memories(記憶)がオンであること |
Business・Enterpriseは二段構えになっています。まず管理者がワークスペース設定の「Permissions & roles」でComputer Historyを許可し、そのうえで各メンバーが自分でオンにする。つまり、社員が独断でオンにして会社の情報が流れ出す、という筋書きにはなっていません。会社のアカウントで項目が見当たらないなら、管理者がまだ許可していない可能性が高いところです。
料金についても触れておきます。Computer History自体に追加料金の記載はありません。必要なのはPro以上のプラン契約です。各プランの金額は変わることがあるので、ChatGPTの公式料金ページで現在の金額を確認してください。ドル建てで提供されるため、円での請求額は為替とカード会社の手数料によって変わります。
会社のMacで使う前に確認したいこと
私物のMacなら、オンにするかどうかは好みの問題です。会社から支給されたMacとなると、話が変わります。判断材料になる仕様を4つ挙げます。
- 操作の記録は、要約を作るためにOpenAIのサーバーで処理される。処理後は、法令で必要な場合を除いてイベントファイルは保持されない
- できあがった「記憶」は、Markdown形式の文書ファイルとしてMacの中に保存される。Finderから開ける
- 一時的なイベントファイルは、Macの中に最大48時間置かれる
- 会社アカウントの場合、そもそも管理者の許可がないとオンにできない
実務で効いてくるのは2つ目です。記憶がふつうの文書ファイルとしてMacに残るということは、そのMacを他人が触れる状態なら、中身も読めるということになります。共用の端末や、離席時に画面ロックをかけない習慣のある職場では、ここが現実的なリスクになります。
会社の情報を扱うMacでオンにするなら、情報システム部門に一言通しておきましょう。あなた個人の判断で決めきらないほうが、あとで揉めずに済みます。逆に、私物のMacで副業や個人の調べものに使うぶんには、ここまで身構える必要はないはずです。
オフにする・止める・記録から外す手順
オンにしたあとの引き返し方を、先に押さえておきましょう。止め方は3種類あり、目的によって使い分けます。
macOSのメニューバーにあるChatGPTのアイコンを開き、Computer Historyのメニューから「Pause」を選びます。新しい操作イベントの収集がその場で止まります。戻すときは同じ場所の「Resume」です。機密性の高い作業の直前にワンクリックで止める、という使い方ができます。
設定の「Computer history」から「Permissions」を開きます。「Exclude these apps」「Exclude these websites」で、記録したくないアプリやサイトを指定できます。逆に「Include only these apps」「Include only these websites」を選べば、自分が許可したものだけを記録する形にもできます。ネットバンキングやパスワード管理アプリを外しておくなら、ここです。
設定の「Computer history」から「History」を開くと、日付と時間帯でまとまったタイムラインが並びます。1件ずつ消すことも、直近10分・直近1時間・直近1日・全履歴からまとめて消すこともできます。各項目からは、もとになった記憶のファイルをFinderで開くこともできます。

Memories(記憶)をオフにすると、Computer Historyが集めた内容は以後のチャットやタスクで使われなくなります。記録そのものを止めたいならPause、記録は残しつつ使わせたくないだけならMemoriesをオフ。目的で選び分けてください。
Computer Historyのよくある質問
- ChatGPT Plusでも使えますか。
-
使えません。対象はPro・Business・Enterpriseです(2026年8月16日時点)。Plusのまま様子を見るか、Proへの変更を検討するかの二択になります。
- WindowsのPCでも使えますか。
-
使えません。Mac版のデスクトップアプリ限定の機能です。ブラウザ版のChatGPTにも入っていません。
- 画面を勝手に撮られていませんか。
-
撮られていません。スクリーンショット・画面の録画・マイクの音声・システムの音声はいずれも記録の対象外で、画面収録の許可も求められません。記録されるのはクリックや文字入力といった操作イベントです。
- シークレットウィンドウでの閲覧も残りますか。
-
残りません。プライベートブラウジングでの閲覧は記録の対象から外れています。
- 日本からでも使えますか。
-
使えます。現時点で利用できないのはEEA(欧州経済領域)・スイス・英国です。日本は提供対象に含まれています。
- 以前の「Chronicle」とは別物ですか。
-
報道によれば、Chronicleはスクリーンショットを使う仕組みで、Computer Historyはそれを置き換える形で登場したものです(出典: 9to5Mac)。
まとめ|オフから始まり、いつでも引き返せる機能
- Computer Historyは、Macでの操作をChatGPTの記憶に変える機能。2026年8月13日にOpenAIの変更履歴へ掲載
- 記録されるのはクリックや文字入力などの操作イベント。画面も音声も記録されない
- 対象はPro・Business・Enterprise。Free・Go・Plusでは設定画面に出てこない
- 初期設定はオフ。Pause・除外設定・履歴削除で、いつでも引き返せる
- 会社支給のMacで使うなら、記憶が文書ファイルとして端末に残る点を踏まえて情報システム部門へ相談を
「AIに仕事を覚えていてもらう」という方向は、これから増えていくはずです。ただ、覚えてもらう相手と場所は自分で選べたほうがいい。Computer Historyがオフから始まり、アプリ単位で外せて、履歴をまとめて消せる作りになっているのは、そこを踏まえた設計だと読めます。
いま対象外のプランなら、あわてて上げる必要はありません。まずはお使いのMacでChatGPTアプリの設定を開き、Computer Historyの項目があるかどうかを見てみてください。それだけで、自分がどちら側にいるかが分かります。
※本記事の仕様は、OpenAI公式ドキュメント(Computer History)および公式の変更履歴で確認しました。2026年8月16日時点の公式サイト情報です。
